人が自由に生きる、カオスで愛おしい街・赤羽。
アニメや山田孝之の実写作品でも話題になった清野 とおる先生の「東京都北区赤羽」で、知る人ぞ知るマニアックタウンですね。
(ウヒョッ!東京都北区赤羽/双葉社/清野 とおる/定価:本体905円 + 税)
その赤羽駅近からすぐのロケーションで、ひときわ異彩を放つ個性的なホテルが、今回紹介する「ホテルテトラ赤羽」です。
今回は埼玉方面から赤羽を通って通勤する皆様が「ちょっと気になるけどあのホテルどうなんだろ?」と気になっていた(と思われる)ホテルテトラの魅力(?)をご紹介していきます!
このレビューの目次
「ホテルテトラ」とは
北海道函館の有限会社ホテルテトラが運営する全国ホテルグループです。
代表取締役の三浦孝司社長はAPAの名物社長・元谷芙美子氏に負けず劣らずの個性派カリスマ社長で、ホテル入口には「コージくん」なる、自身をデフォルメした、満面の笑みのハゲ人形が置かれており、地元の子供たちからも愛されるタウンシンボルとなっています。
しかもこのテトラグループではなんと、全店舗で『ハゲ割』なるサービスを行っており、フロントが認定した立派なハゲ(サザエさんの波平的なものは不可)であれば、宿泊代が300円から500円安くなるそうです。
この世界のあらゆるサービス割引の中で「ハゲであるがゆえに得をする」数少ないケースだと思われます。
しかもこの割引は「客の抜け毛がないため客室の掃除が容易」という合理的な事由に基づいているとのことです。
コージくん、さすがです。
宿泊したプラン
さて、今回利用したプランはこちら
【お疲れ様プラン】ビール又はチューハイ等とバスソルト付きです!【朝食付】【赤羽駅】
……プラン名長い。
それはともかく、冷えたビールが用意されているのはちょっとうれしいですね。バスソルトも興味がありますし。
それに朝食までついて8,000円(税込)です。
このホテルにはカプセルホテルと豪華カプセルホテル、それに部屋タイプのビジネスホテルと三種類の泊まり方ができます。
もし、コスパを考えるのであれば、カプセルホテルが良いかもれませんが、今回はあえてお部屋タイプの宿泊プランにしてみました。
ホテルの外観
周囲の環境で良い意味で浮いていますので目立ちます。
とにかく細長くて、地震がきたら怖そうに見えますが、駅近のこの立地で振動に耐えながら震災を乗り越え何十年も聳え立っているんですから立派なものです。
では「コージくん」に出迎えられて、さっそく中に入っていきます。
ホテルテトラ赤羽の館内設備
エントランスから入ったすぐに、フロントがあります。
とにかくいきなりチェックインをする必要があります。
フロントでは鍵と、プランであった冷えたビール、それにバスソルトに朝食券がもらえます。
カプセルホテルのお客様用ですが、耳栓ももらえました。
そして簡単な館内案内の説明を受けたあと、脇のシューズロッカーで館内スリッパに履き替え、中に入ります。
フロントでは珈琲も飲み放題で部屋に持っていけます。
それとカップ麺やお菓子、ビールのおつまみや、赤羽の地酒(創業明治11年、23区内で唯一続く酒蔵「小山酒造」の「丸眞正宗 吟醸辛口」)も売っていました。
それと、さり気なく置かれているコミック「東京都北区赤羽」。
このホテルが、いかに地元・赤羽を愛しているかが伺えます。
エレベーターで客室へ
さて、1階ではこの他に名物のお風呂もあるのですが、まずはエレベーターでお部屋に向かいます。
履き替えなければ中に入れないタイプなので、エレベーターも特にセキュリティーもなく、そのまま客室に上がれます。
さて、エレベーターを出て、特に自販機も何もないのでそのまま奥の客室に向かったのですが、ドアを見てちょっとビックリ。
「え? 3名?」
自分はシングル予約をしたはずなのに、なんておおらかなシステムなんでしょう。
3名入れる部屋にこの値段で泊まれるなんて♪
はたしてホテルテトラ赤羽の客室は?
角部屋だし、こりゃラッキー。
忙しい月末の締め切りラッシュの合間をぬって予約をしたかいがあったなあ〜とお部屋に入ってみたら、
3人泊まるにはちょっと狭い感じ。
そして部屋の中にはいると「3名」の意味が判明。
なんと2段ベットでした\(^o^)/
……いや、
ちょっとまて、
「3名」だよな。
それで「2段ベット」だよな。
つうことは、この上下どちらかでは
「二人で寝る」っつう事を想定してるわけですか??
一瞬、貧国からの出稼ぎ労働者悲哀の図が頭をよぎったのですが、
そのあと、ポジティブの神様が、、
「……そうではない。これは家族連れを想定した構成なのだ…」と、お告げをくれました。
そう、家族連れや、とっても仲がいい女子会のお泊りでは楽しそうですネ♪
2段ベッド
改めて2段ベッドを見てみると、しっかり枕が2つ並んでいました。
はい、寂しがりやのお子さんをしっかり抱きしめてあげられます。
お友達とも親密度UP♪ですね。
寝心地は悪くありません。ひとりで寝るなら広い方です。
枕元にコンセントがありますのでスマホの充電もバッチリです。
ベッドの上には、室内着のガウンとタオルがおいてありました。
これは予約した人数分、すなわちひとつでした。
テーブルにはテレビ、電気ケトルとマグカップ。
奥には冷蔵庫があります。
テレビはシンプルに地上波だけが映るタイプでした。
冷蔵庫にはいただいたビールでも入れておくことにします。
Wi-Fiはフリーのものがパスワード不要でアクセスできます。
計測タイミングの時、たまたまアクセスが少なかったのかも知れませんが、かなり高速に接続できます。
ユニットバス
この部屋のユニットバスで特徴的だったのは、全面手すりが付いていること。
足腰が不自由な方にもきちんと配慮されています。
歯ブラシなどのアメニティもここにあります。
あと、シャンプー、リンス、ボディーソープもありますが、ちょっとわかりにくい位置にありました。
それと便座シャワーもちょっと変わっていて、アナログのつまみ式で水流を調整できます。
ちょっと斬新です。
窓からの風景は?
今回泊まった部屋は比較的低層階のせいかもしれませんが、風景はイマイチ。
それどころかご覧の通りに悪い毒電磁波を受けそうな状況でした。
うーん、これはもうカーテンを閉じて見なかったことにします。
その他の館内設備
細長いこの建物では階によって異なるコンセプトの作りになっています。
まず5階の奥には飲料水の自販機と喫煙コーナーがありました。
2階、3階はカプセルホテルフロアになっています。
比較的広めのカプセルになっていて、宿泊料金も2,000〜4,000円程度。
それぞれ共同のロッカーとシャワー、洗面所、コインランドリーも使えます。
とにかく安く泊まりたいならカプセルホテルという選択もありですね。
「小」浴場、あります!
ホテルには利用客が入れる大浴場……とまではいかないが、小さな浴場があります。
一度に4人程度しか入れませんが、それでもユニットバスよりは浴槽が広く、なんと言ってもゆっくり足を伸ばせるのはありがたいですね。
衝撃的だったのは、「このスペースで本当に作ったの?」というサウナ。
大人がギリギリふたり入れるかどうかという大きさですが、しっかりサウナです。
家庭用サウナにありがちな「ちっとも汗をかけない」という訳でもなく、ちゃんと汗を流せます。
駅から雨に濡れずにも行けちゃう!ホテルテトラ赤羽へのルート紹介
さて、ホテルテトラ赤羽への行き方はとても簡単。
まずは赤羽駅東口(1番街方面)に出ます。
そこから駅を背に左手へ。
少し進むと(信号を渡って緑色のビルを越えた辺り)テトラが見えてきます。
天気が良ければこのルートがわかりやすくておすすめですが、実は線路の高架下にあるショッピング街「Beans Terrace」を通り抜けてもホテルに迎えます。
ダイソーやTSUTAYAなども入っている便利なショッピングモールになっており、特に天気の悪い場合はこちらのルートがおすすめです。
ホテルテトラ赤羽の最寄りのコンビニは?
コンビニに行くのはちょっとだけ面倒。
深夜でなければ、「Beans Terrace」の中にあるテナントの有名店で買い物を済ませたほうが便利です。
しかし真夜中にコンビニに行くとしたら、赤羽の呑み屋街に入っていく必要があります。
まずは駅から来た道を少し戻り、きれいなお姉さんがいるお店の正面右手の路地に入ります。
少し進むとちょっと目立つ鰻屋さんがある交差点にぶつかります。そこを右手に。
交差点から1分くらいでセブンイレブンが見えてきます。
赤羽の夜(晩ごはん)……魅力的な店だらけで逆に悩みます。
冒頭に紹介した「東京都北区赤羽」でもそうですが、とにかく面白そうな呑み屋、居酒屋が並ぶ赤羽。
オジサン世代にはぶっちゃけ少しヨコシマな街のイメージがありますが、若い世代には山田孝之効果でむしろ2、3人の女の子グループが楽しそうに呑むというような光景が見られます。
なにせ、今「本当に住みやすい街2019」の第1位だそうです。
「住みやすい」という感覚は人それぞれ違うと思いますが、20歳そこそこのまじめで普通っぽい女の子グループが路上で缶チューハイを「イッキ!イッキ!」とキャッキャッしてても、しかめっ面で舌打ちされたり、悪いおっさんに絡まれないんだから、おおらかでいい街だよな〜、と記者も思います。
ゆえに困ったのが、ビジホモード名物、晩ごはんの名店チョイス。
正直、選べません。色々、個性的で魅力的な店やまるで魔界の入り口のような興味深い呑み屋群がありあすぎて……。
おまけにメタ的な話で恐縮ですが、今回の取材、平日に突貫で行っているんですが、月末で記者は締め切りをかかえ、これだけ魅力的な呑み屋があるにも関わらず、ホテルに帰ったらシコシコ原稿を書かねばならないという悲しいシチュエーション。
なので、ちょっと別な切り口で、お酒抜き、食事のみを楽しめる店に行きました。
このホテル自慢の朝食提携店にして、冒頭のマンガでも紹介されている喫茶店「友有路」です。
ホテルテトラ赤羽と朝食コラボ! マンガでもお馴染みの人気喫茶店「友有路」
最初このホテルに入った時、フロントのお兄さんがプランの朝食は、提携店「友有路」になりますと説明をしてくれていました。
ホテルテトラ赤羽には、施設の中に食堂はありません。
普通こういう場合、建物の隣とか正面とか、お客に歩かせない店と食事の提携をするものですが、なんとホテルテトラ赤羽はわざわざ「駅まで戻ってこのお店に!」というのです。
しかも「ちょっと歩きますけど、その甲斐はあります。絶対にオススメです」との事です。
プランでも散々朝食の自慢をしていました。
なら、本当に旨いのか、夜行ってやろうじゃないか!
と、捻くれて思ってみた次第です(酒も呑めなかったし)。
場所は赤羽駅東口交番のとなり。
ミスタードーナツのあるビルの2階に、見つけました。
「友有路」……こう書いて(トゥモロー)と読ませます。
「友との道にこそ明日が有る」とか読み解けばよいのでしょうか。
建物の階段を登り入り口を見ると「酔っ払いはくんな!」のお断り。
もう、全力で酔っ払いを排除する姿勢を前面に出しています。
しかし、赤羽で生き抜くためには、この警告は必要なのでしょう。
店内に入ると、すぐに清野とおる氏と山田孝之氏のサインがありました。
おそらく原作ファンが聖地巡礼でけっこう来ているのでしょう。
ここで注意点ですが、この店では喫煙OK。逆にタバコが苦手な人はちょっとおすすめできません。
まあ、本当に昔からの喫茶店という感じです。
ハンバーグセット(1280円)をいただきました。
お料理もまあイケますが、やはり珈琲がうまかったです。
箸入れやナプキンに、珈琲好きの名言が書かれていました。
こういうあたり、本当に昔ながらの古き良き喫茶店だなあ、とか思います。
結局今回は「夜」も「朝」もこのお店の世話になりました。
朝はお魚の定食でした。アジの塩焼き、絶品でした。
まとめ…今を生きる若者の自由な街と人に優しいホテル
なぜ、赤羽が「本当に住みやすい街」で、この昔ながらの独特過ぎるホテルが愛されているのでしょう。
かつて赤羽は新宿、渋谷などへのアクセスの良さがありながらも、庶民的、大衆的であったりしておしゃれで華やかなイメージが持たれにくかった時代もありました。
しかし「水清ければ魚棲まず」という言葉があるように、清廉であることだけが人によって住みよいのか、と言われれば、私は違うのではないかと思っています。
一方でこの街には、人を受け入れる度量の深さ、優しさみたいなものがあります。
いま、タバコに続いてお酒についても、
「だらしない」「はしたない」「人をだめにする」といって規制の方向に動く向きの方も増えてきています。
しかし、赤羽はお酒を愛する人に、いや、人そのものに優しい街だと思えるのです。
最新の商業施設やイケてるビジネス街、高度にIT化された施設がある……
この赤羽が「本当に住みやすい街」と評価されているのは、
そういう類のことではないと、記者は思います。
そしてこのホテルテトラ赤羽です。
全体的に、奇をてらったような記事の書き方をして本当に申し訳ありませんが、最初に部屋に入った時、私が本当に感動した1枚がこちら。
黒字でふせられた部分には、私の名前が記されています。
これだけ業務効率化を強いられているホテル業界にあって、ルームメイクなんて、外国人の方に無理をさせて働かせているところも多いでしょう。
明らかに手書きで、ましてや私の名前との照合なんて手間のかかる事をわざわざやって、気持ちを伝えてくれています。
仕事柄ビジホにはけっこう泊まりましたが、こういうサービスをやってくれるところは本当に少なくなりました。
むしろ個人情報うんぬんお客に言われ、せっかくの気持ちが裏目にでる可能性もあり、今は業界的にこうしたベタなサービスは避ける傾向にあるのに……です。
「ホテルテトラ赤羽」は、確かに古くからのホテルで、オシャレで洗練されたホテルとはお世辞にも言えません。
なにせ「ハゲ割」ですし(笑)。
しかし、自ら笑いを取りに行く社長をはじめとして、厳しい景況感の中、自分たちがやれる精一杯のおもてなしをする姿勢は、記者はとても好感を持っています。
赤羽の街の魅力もあって、ちょっと仕事がうまく行かないとか、心がささくれた時に安らげる渋いホテルだと思います。
ホテルテトラ赤羽の情報
ホテル名 | ホテルテトラ赤羽 |
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所在地 | 〒115-0045 東京都北区赤羽1-67-56 |
電話番号 | 03-5939-7480 |
アクセス | JR赤羽駅より徒歩で約3分 |
駐車場 | なし |
URL | http://akabane.e-tetora.com/ |
インターネット | 無料Wi-Fiあり |
宿泊したプラン / 部屋
宿泊日 | 2020年1月29日(水) |
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プラン | 【お疲れ様プラン】ビール又はチューハイ等とバスソルト付きです !【朝食付】【赤羽駅】1名 |
料金(税込) | 8,000円 ※料金は同じプランでも曜日や空室状況によって異なります |