東京都心・四谷から少し歩いた閑静なビジネス街にあるこの「栄進館」をレポートします。
伝統的な「旅館」という、古〜い体裁でありながらも、その立地から最先端のビジネスマンが集うこの宿には、何故が辛口な旅行口コミサイトの中にあっても優しい評価が目立ちます。
今回は、隠れファンも多いという、この宿の魅力に迫ってみました。
このレビューの目次
栄進館とは
東京のど真ん中、新宿区の四谷で1945年から続く伝統ある旅館です。
旅館の主人のツイッターによりますと、
戦後の創業時は靖国神社への戦没者慰霊で上京される方々の宿泊がメインだったとの事です。
実際、靖国神社には旅館から徒歩で30分ほどで行けます。
ネットはおろか電話も一般に普及してなかった時代に、創業者である現主人のおじいさんは、夜行列車で到着するお客様を迎えるため、なんと上野駅まで歩いて迎えに行ったそうです。
この宿に根ざしているおもてなしの心、実直さが伺える話です。
宿泊したプラン
今回は、
「禁煙バストイレ付客室通常プラン」
というプランにしました。
ビジネス客にとってのスタンダードなプランです。
価格は税込7,700円。
プランは基本的に部屋の種類、和室か洋室か、大部屋か、というところで別れています。
ひとりでビジネス目的なら、今回チョイスした部屋がおすすめですが、あえて不便でも「旅館情緒を味わいたい」という方は和室も良いかと思います。
栄進館の館内設備
JR四ツ谷駅から徒歩で約5分。
外堀通りから入った、学校やオフィスが立ち並ぶ、閑静なエリアにあります。
なんとも趣深い行灯看板が目印。
周囲が近代的なオフィスや施設が立ち並ぶ中、個性を際立たせております。
1階は旅館のロビーとカフェを兼ねているようです。
フロントはカフェのカウンターにもなっており、こちらで受付を行います。
施設についての簡単な説明をしてもらえます。
また、こちらでアメニティのひとつ「ひげ剃り」を受け取ります。
ブラシは50円で有料でした。
部屋の鍵の受け取り、奥のドアから宿泊エリアに向かいます。
ドアを開けると右手すぐにもう一つのドアが。
こちらが夜間の通用門になるようです。
下駄箱に靴を入れ、スリッパに履き替えて階段を上がり中を進みます。
下駄箱は共用になっており、気になる人はビニール袋に入れて靴を自分の部屋に持っていくことも出来ます。
階段で2階に上がります。
2階にあがるとウォーターサーバーが。
ここでお水とお湯を汲むことが出来ます。
大きなキャリアケースを入れておけるトレイも用意されていました。
荷物の多い人はありがたいですね。
フロントでもらった鍵を開けて、部屋に入ります。
洋室は思ったより奥行きがあります。
客室の様子
やさしい暖色照明の落ち着いた部屋。
立地のせいもあってとにかく静かです。
入り口は、最近のビジホと違って少し広め。
立派で趣のあるソファがありました。
向かい側には小さいですが外套を収められるクローゼットが備え付けであります。
細いカウンターテーブルがあり、こちらに化粧鏡やテレビ等が置かれてありました。
電源タップがあり、ベッドでもカウンターでも使えそうな位置にあるので、カウンターでノートPCなど置いて仕事などもできそうです。
お茶菓子にはあの「ホワミル」君で有名な三幸製菓の「雪の宿」。
ファンも多いですよね。
冷蔵庫がありますが、使う場合は自分で電源を入れる必要があります。
冷蔵庫の上には暖かそうな毛布があり、椅子で仕事をする時、膝上にかけられます。
アメニティはタオル、歯ブラシ、ひげ剃り。浴衣もあります。
タオルは洗い方に工夫があるのか、とてもふかふかだったのが印象的でした。
ベッドについて
幅1メートル弱のシングルベッドです。
枕もひとつ。
マットレスはそこまで硬いわけでもなく、かといって沈み込むほどでもなく、ちょうど良いかと思います。
布団は少し薄め。
夏場はちょうどよいと思いますが、冬場は少し寒い。
エアコンが直ぐ側にありますが、ベッドがすぐ窓側なので、備え付けの毛布も併せて利用するのが良いかと思います。
ユニットバスについて
シンプルで少し狭いユニットバスです。
トイレは水洗溜め置きのレバー式。
シャワーと蛇口はレバーで切り替えます。
お湯を出す時はパイプが熱くなるのでやけどに注意。
シャワー口は小さめで湯船も少し狭め。
コンパクトな作りです。
シャンプーとボディーソープが備え付けでありました。
トイレットペーパーは使い切りが出来るように2セットありました。
部屋の床は板の間(フローリング)なので、ユニットバスを出たところには足ざわりの良いビビットカラーのマットが敷いてありました。
窓の景色は
四谷のオフィス街にある立地なので、あまり期待はしていなかったのですが、正面が駐車場になっていることに加えて、周辺には規制で高い建物がなく、意外と見晴らしが良いです。
目の前にもっか急ピッチで建設中のエリア再開発複合商業施設、コモレ四谷がそびえ立っています。
朝になると日差しがちょっと眩しいくらいです。
この部屋がビジネス拠点に向く理由
この宿は四谷のド真中と、とにかく立地が良いです。
周辺にはライバルとなる宿も多くはないので、絶対遅刻できない会議や商談を前にしたビジネスマンや受験生に向いています。
さらに閑静なオフィス街にあるので、とにかく夜間は静かです。
静かすぎて、写真のように木箱で覆われているネットのルーター機器の駆動音が気になるくらいに静かです。
記者もあまりに静かなのと、学校が近くに多いという事もあって、昔受験のために東京に上京した時のことをふと思い出しました。
スピリチャルな話で恐縮ですが、そういう「最後の勝負に備える」という人たちが、この宿の70余年の歴史の中で代々宿泊していった「念」や「思い」みたいなものが部屋からは感じられる気がしました。
……まあ、観念的な話はともかく、面白いのがネット環境です。
自分でルーターに電源を入れ、箱に書いてあるパスワードを入力して使うんですが、ダイレクトにネット回線(おそらく一部屋に一台ルーターがついていると思います)につながるのでネットが早い早い(笑)。
30Mbps〜50Mbpsはゆうに出ます。
静かな作業環境と四谷というビジネス立地、高速インターネット、必要最低限のシンプルな宿泊環境が用意されてるこの宿は、きっとビジネスマンの商談前夜、最後の追い込みに力を発揮するかと思います。
栄進館の施設
今回記者が泊まった部屋は洋室でユニットバスがついていましたが、それとは別に廊下を出るといかにも伝統ある旅館らしく、共同トイレがあります。
多人数で泊まった時は便利ですね。
それと旅館1階の敷地内には今や懐かしい公衆電話や、コインランドリーがあります。
敷地内ですが外にあるのがちょっと冬場は難点ですね。
それと、この栄進館には「レンタルサイクル」もあり、アプリで登録すると利用可能です。
フロントのところでは簡易的なロビーになるのと、ちょっとした小物、サプライが販売されいます。
非常食にもなるような缶パンなども売っていました。
栄進館の朝食
朝は1階のロビー兼カフェでの朝食になります。
好きなドリンクを選んだら、その場で旅館の主人が温かい料理を用意してくれます。
たっぷり注いでくれた温かいカフェオレとクロワッサン、それにご主人手製の玉ねぎが入ったオムレツです。
温かいパンは、とにかく美味しいです。
栄進館へのアクセス
JR四ツ谷駅、麹町口から、外堀通り方面に向かいます。
地下鉄南北線で来られた方は2番出口から地上に上がってください。
丸の内線はJR駅同様に外堀通りに向かい、通りに沿って歩きます。
左手に建設中のコモレ四谷を見ながら飯田橋・御茶ノ水方面に外堀通りを歩きます。
1つ目の信号「本塩町南」でコモレ四谷の脇を抜けるように左の道に入ってください。
あとはひたすらまっすぐ。郵便局を通り過ぎて(※仮設郵便局ですので無くなっている可能性があります)、そのまま進んでいくと、自動販売機が3つ並んだ後に栄進館が見えてきます。
周辺環境 – 地元サラリーマンのオアシス「しんみち通り」を散策
宿は深夜でも出入り自由です。
正面のフロントは閉まってしまいますが奥の通用口から出入り自由。
鍵のキーホルダーの裏に書かれた暗証番号で、ドアのロックが開けられます。
四谷の夜といえばずばりココ「しんみち通り」。
遅くまで居酒屋やレストランで賑わっています。
ランチの時は行列店も多く、賑わいを見せています。
取材時(日曜の夜)は少しおとなしめですが、それでも魅力的な居酒屋や料理店が元気に営業しています。
焼き鳥屋、中華料理屋、多国籍料理屋、居酒屋などが元気な印象でした。
中でも記者のおすすめは、知る人ぞ知る昭和の洋食屋「バンビ」。
それと挑戦的な看板が目印、いったい何が出てくるのか想像し難いこのお店。
ネタで入りました(笑)。
店内に入ったらさらに驚き、シャンデリア凄いです。内装、インテリアも何でもありです。この感性、素敵です。
本日の晩メシにはマーボー定食いただきました。
よくある四川風麻婆とはちょっと違った味付けですが、これが旨いです。
それと、この店では個人的には挽き肉たっぷりのガパオ定食がオススメです。
ちょっと夜にダラダラ散歩してしまいましたが、とにかく忙しく、あまり夕飯に時間をかけられないビジネスマンの方でしたら、無難なチョイスはJR四ツ谷駅ビルアトレの中に入っているレストラン。
移動の途中で美味しくご飯がいただけます。
近くにコンビニは
閑静なオフィス街にある栄進館、コンビニもちょっと歩きます(3〜4分くらい)。
先ほど紹介した「しんみち通り」に向かう途中にあります。
旅館正面の道をもう少しだけ駅反対側に進み、写真の場所まできたら右折。
そこをひたすら真っすぐ進みます。
さんえい通りに突き当ったら左へ。
さんえい通りを少し歩けば、ローソンが見えてきます。
手前にポスト、隣にレンタカーもあり、仕事で色々な局面で使える施設の集まる場所でもあります。
栄進館のレビューまとめ・評価
「栄進館」は、いわば、都心の伝統的な、ビジネスマン、受験生という、絶対に負けられない戦いに挑む人が集中して前夜のコンディションを整えられます。
また、仮に天変地異で電車が止まったとしても、いざとなったら、都心であればレンタルサイクルで現場に向かえるという条件も整っています!
……まあ、天変地異の話はともかく(笑)、来年の2月には、長らく開発中であったこの四谷エリアのイメージを画期的に変えるであろう、複合商業施設にしてオフィス、住宅、学校、郵便局まで入った「コモレ四谷」がオープンします。
ここから徒歩3分圏内の栄進館には、また新しいニーズが生まれるでしょう。
もっとも記者は「コモレ四谷」同様、古き良き「しんみち通り」も愛し続けます。
伝統のある「栄進館」も、古くからのファンや、あえて昭和を堪能できるこの個性的な宿にも、頑張ってもらいたいと強く願っております。
栄進館のご主人は、先代からの伝統をしっかり継承しつつも、ツイッターでお客様、宿のファンに有益な情報を自分の言葉で発信し続けています。
ビジネスライクにSNSに向き合うのではなく、こうしたお客の声を拾っていこう、お客に情報を発信していこうという姿勢にはとても好感が持てます。
何か大事な勝負をかける前に、宿としては質素ではありますが、あえて、こういう場所でパワーをチャージして準備するのも良いかもしれませんね。
栄進館の情報
ホテル名 | 栄進館 |
---|---|
所在地 | 〒160-0002 東京都新宿区四谷坂町1-8 |
電話番号 | 03-3353-0821 |
アクセス | JR四ッ谷駅、地下鉄四谷駅より徒歩5分 |
駐車場 | 1500円/泊 要事前確認 近隣に駐車場多数あり |
URL | https://mobile.twitter.com/EishinkanTokyo |
インターネット | Wi-Fi無料 |
宿泊したプラン / 部屋
宿泊日 | 2019年12月15日(日) |
---|---|
プラン | 「禁煙バストイレ付客室通常プラン」 (楽天トラベル) |
料金(税込) | 7,700円 ※料金は同じプランでも曜日や空室状況によって異なります |