地方では、昔ながらの老舗旅館が、中央から進出する系列店ホテルにどんどんお客様が奪われてしまい、苦境に立たされている宿も少なく有りません。
そんな中、昔ながらの旅館の良さと、今の時代が求めるコンビニエンスさ、手軽さ、値ごろ感というそれぞれの良さを融合したハイブリッドホテル・松屋別館を今回はご紹介します。
今、復興のため頑張っている熊本を、観光面から元気にしているこのホテルの新しい試みと共に、ホテル目の前、熊本に行ったらぜひ訪れて欲しい観光名所「水前寺成趣園」の魅力にも迫ってみたいと思います。
このレビューの目次
「松屋別館」とは
熊本市の老舗旅客業社㈲松屋本館が、水前寺公園前にあったビジネスホテル「アネッソマツヤ」を全面リニューアルし、2015年にオープン。
「旅館のようなホテル」をコンセプトに「松屋別館」として生まれ変わりました。
高級旅亭「松屋本館」に対し、「旅館のようなおもてなし」を「ビジネスホテルのような利用しやすさ」で提供する「松屋別館」は、学生、団体客、出張族、そして家族連れなどのファミリー層にも広く利用されております。
宿泊したプラン
今回利用したプランは
「【今だけ限定】和洋室SALE ご朝食付きプラン」
です。
気になるお値段ですが、税込10,450円でした。
ビジホモードの高コスパホテルを見慣れている皆さまでしたら、ちょっとお高い感じがするかもしれません。
しかしながら観光地の人気旅館として考えると割安なプランです。
ちなみに松屋本館の方なら15,000〜20,000円近くはかかります。
これが帰省シーズンや水前寺成趣園観光の人気シーズンになると、宿泊予約もさらに難しくなることを考えれば、今回わりと頑張ってお得に予約できたプランです。
いざホテルへ! 館内紹介
熊本空港から車で25分、ホテル目の前の駐車場に停めて、ホテルにチェックインします。
ゆったり落ち着けるロビーの右手にフロントがあります。
なお、事前に電話で確認をすると、「ホテル前に車を停めてキーをもってフロントにおいでください」と丁寧に案内されました。
キーを預ければ車はホテルのフロントの方が駐車場に移動してくれます。
チェックイン時にフロントで宿泊費を支払い、部屋の鍵と朝食券を受け取ります。
そしてフロント右のエレベータで部屋へと向かいます。
客室は3階〜6階。
7階にコインランドリーがあります。
まずは部屋に向かいます。
客室階のエレベーターホールから部屋に向かいます。
廊下は少し広めです。
松屋別館の客室
ドアをあけると目の前に畳の部屋が!
「旅館風なホテル」とはこのことか、と実感できます。
フロントで渡される鍵を部屋に入ってすぐのスイッチ下に差し込みます。
でもそうすると、外出時には部屋の電源が落ちますよね?
そう思ってふと部屋の中を見渡すと、冷蔵庫の上にもう一本の部屋番号の書いたバーを見つけました。なるほど、これをカードよろしく差し込んでおくわけですね!
こうしておけば食事や外出で部屋を離れた時も、充電されるわけです。ビジネスユースでPCを起動させておきたい時などに便利です。
カジュアルなお部屋を選んだつもりでしたが、一人で出張で泊まるにはもったいない、贅沢な広さです。
畳なので家族で泊まれるくらいの広さの部屋でした。
この小さなちゃぶ台だけじゃなくて、テレビ横のボードで、もう十分にPC仕事できそうです。
冷蔵庫の上は給茶セットが。
サービスドリンクはお水、ウーロン茶、缶コーヒー2本、お茶パックと充実。
嬉しいサービスです。
クローゼットは部屋の外観を損なわない造りになっていました。
トイレとお風呂
「旅館風なホテル」の贅沢さがここにも!
お風呂とトイレが別々です。
ずっとビジホモードの取材をしておりますと、ユニットバスが当たり前になっていますが、お風呂とトイレが別、にこだわりたい方もいるのではないでしょうか。
しかも、トイレが広いのです。トイレに専用の個別洗面台もあるのです。
もう、トイレが広くて綺麗っていうことだけでもポイント高いですね。
こちらは浴室脱衣室側の大きな洗面台。
ユニットバスの中、ではないので、家族などで泊まる際にはケンカせずに使えそうです。
そしてお風呂は普通に家庭用のゆったりサイズ。
独りで泊まるにはもったいない広さです。大浴場もあるのに贅沢ですね。
シャワーヘッドはシンプルなタイプ。
浴室内には2階の大浴場と同じ木の風呂桶や椅子が用意されておりました。
風情がありますね。
ところで、大浴場を利用する際には、バスタオルだけは部屋のものを持ってけばOK。
小さなタオルは大浴場に常設してあります。
このあたりの話もフロントできちんと説明がありました。
こういう説明は大事だと思います。
アメニティは?
あれ? お風呂にシャンプーないなぁ~と思ったらアメニティセットの中にありました。
オーガニックブランドのシャンプー、コンディショナー、シャワージェルは爽やかなレモングラスの香り。
そしてシアバター配合の石けんのセット。
地元熊本八代市のシントワールドという会社のものでした。
かなり女性客を意識した内容です。
加えてカミソリ、ヘアブラシ、そしてボディタオル、あとドライヤーです。
必要なものはしっかり揃っていますね。
こだわりのベッド
松屋別館ではベッドはSerta社製の物を使用しています。
「ヒルトン東京」や「セレスティン銀座」など、一流ホテルで導入されているこだわりのベッドです。
1931年にアメリカで生まれた全米ナンバーワンマットレスメーカーSerta社のベッドは世界中の一流ホテルから愛されています。
和室にマットレスというロースタイルながら、ベッドは快適。
ちょうどよい硬さで、ぐっすり…眠れました。
さすが高級旅館のクオリティです。
今回はこの部屋に独りで宿泊ということで備え付けの浴衣は1着。
さすがに浴衣の柄を選べるなんてサービスはないですが、旅館はやっぱりガウンより浴衣ですよね。
ちなみに館内は浴衣でOKですが、朝食会場等であまり浴衣のお客はいませんでした。
ネット環境は?
部屋にはWi-Fiがあります。
すぐに繋がりますが、決して早いとはいえないスピードでした。
しかしメール受信等ならばまったく問題はありません。
フロントで特に案内はされませんでしたが、テレビ横にきちんとWi-Fiのパスワードの案内が準備されていました。
窓からの景観
部屋に入って正面にテレビ、その奥の左右の茶色のふすまを開けると窓になります。
光を取り入れたい時には左右の茶色のふすまを開ければ、ずいぶんと明るい部屋になります。
そして、窓からの景色はこちらです。
今回は6Fの部屋に宿泊しましたが、水前寺の街を一望できます。
また、ホテル目の前にあるセブンイレブンがよく見えます。
館内設備
2階の大浴場フロアの奥には、自動販売機と、喫煙コーナーがありました。
ちょうどお風呂に向かった時間帯、どちらも無人で様子はわからなかったのですが、喫煙コーナーは結構な換気扇ファンの音がします。
コインランドリーですが、館内案内には7階と書いてあるんですが、エレベータは6階まで。
7階へはドアを明けて階段で1フロアあがったところにありました。
自動洗濯機が3台、乾燥機が4台、ちょっと乾燥機が多かったのは意外です。
実際、乾燥機は順番待ちすることが多いので利用者としては嬉しいですね。
大浴場「すいぜんじの湯」へ
最近は大浴場のあるビジホも珍しくはないですが、なにせ松屋別館は「旅館のようなホテル」だけにお風呂も期待できます。
……と、お風呂の前に休憩スペースがあります。
ここがゆったりしていて、ソファーも充実していて快適です。
お連れがいる場合や、家族連れで泊まる場合も、気持ちよく待ち合わせができます。
暖簾をかき分けて中に入ると、自由に使えるハンドタオルと貴重品入れがあります。
お風呂は湯船こそ広いのですが、洗い場は少ないです。
手足を伸ばし、じっくり身体の疲れをとり、温まることをメインに利用しましょう。
夜は深夜1時まで。朝は6時からお風呂を利用できます。サウナは男湯のみにあります。
朝食は和食中心のビュッフェスタイル
さて朝食です。
開始時間は7:00から。
朝食会場は「肥後ダイニング そろ」。
夜は和食割烹風の店でしたが、朝は朝食会場になります。
この店内は個室が多いのが特徴で、朝食でも利用できます。
落ち着いて食事できますね。
夜はバーカウンターだったのが、朝食ではビュッフェ会場の料理テーブルに早変わり。
コンパクトながらも、ごはん、お味噌汁、和食中心の充実したバイキングでした。
珍しかったのはクリームシチュー。
たまに朝からカレーが出るホテルの朝ごはんなんてところもありますが、手作り風のクリームシチューはちょっとめずらしいですね。
朝から温まって元気になりました。
洋食はパン、スクランブルエッグ、ウインナーなどがありますが、どちらかといえばラインナップは和食の方が充実していました。
あと、九州名物の明太子も大胆に盛りよく置かれていました。
贅沢にも個室でゆっくり朝食を楽しむことができました。
周囲をみると同じような出張族がチラホラ。
熊本地震の復興の関係なのか、作業服をきた人を見かけることが多かった印象です。
「松屋別館」へのアクセス
熊本空港から、ホテルまではレンタカーで25分。
レンタカーはWeb予約でバジェットレンタカーさんを利用しました。
空港につくとカウンターから電話すれば数分で、送迎車をよこしてくれます。
帰りも車の返却後、すぐに空港まで送ってくれて無事に飛行機にJustTimeで乗ることができました。
1分1秒を争うビジネスユースの観点でみると、JR熊本駅からのアクセスは正直あまり良くはありません。
電車・バスで約40分。
特に車では熊本市街中心部が通勤時間帯は渋滞するため、熊本城・熊本駅方面への移動には公共交通機関を利用するほうが良いです。
しかし、空港からレンタカーや高速バスを利用する場合や、空港と熊本駅の間に目的地がある場合には、この宿のアクセスは至極便利だと思います。
もちろん空港の近くにも他にホテルはあるのですが、ちょっとした朝の空き時間に散策を、なんて贅沢ができるのがこの松屋別館の魅力です。
晩ごはんどうする?
晩ごはんは宿の「肥後ダイニング そろ」でも美味しくいただけるのですが、周囲を探索を!と思い、もらったMapを片手に夜の散歩にでかけました。
しかし!水前寺成趣園は夜はガッチリ施錠されていて入ることはできません。
夜景を期待していたのに残念。
そこで門前町を夜の散歩。するとニャンコたちがのんびり…あるいているではないですか。
普通はちょっとでもカメラを向けようモノならプイっといっていしまう猫たちもこのサービスぶり。
熊本ではクマのみならず、ニャンコたちも人懐っこいようで、の〜んびりと散歩しています。
さて晩ごはん。
熊本といえば、馬刺!といきたかったのですが、お安くて有名なお店は早くも店じまいの様相でした。
地方は夜が早いですね……。
そこでもう少し散歩を続けると、やっぱりこの時間なら「熊本ラーメン」でした。
お邪魔したのはこの12月に開店したばかりという「豚美」さん。
熊本ラーメンって、ちょっと濃いめを想像していましたが、意外と細めんのサッパリした、とんこつベースのラーメン(豚骨拉麺700円)でした。
ニンニク刻みを揚げたチップが効いています。
ついでにビール(500円)と砂ずりポン酢(350円)もいただきました。
近くのコンビニは
窓からの景観でご紹介したとおり、目の前にはセブンイレブンがあります。
夜の散歩の帰り道にディスカウントストアという表記を見つけました。
地元で人気「rocky」です。
営業時間は夜の22:00まで。
rockyもセブンイレブンもあるということで、買い物で心配なことはないですね。
水前寺成趣園散策
松屋旅館は本館も別館も、この水前寺成趣園観光を目的に宿泊される方が多いです。
入園料金は16才以上400円。
開園時間は冬時間(11月〜2月)は8時30分〜17時。
夏時間は(3月〜10月)7時30分〜18時。
水前寺成趣園は熊本藩細川氏の初代藩主・細川忠利が1636年(寛永13年)頃から築いた「水前寺御茶屋」が始まり、歴代藩主や地元民に親しまれてきました。
昭和4年に「水前寺成趣園」として、国の名勝および国の史跡に指定され、今でも年間40万人の観光客が訪れるそうです。
と、言うわけで帰りの飛行機の時間を気にしながらも、昨晩は入れなかった水前寺成趣園に行ってみました。
ホテルでもらった割引券で入園券を購入。
ちらっと中に入って、夜中にがっちり施錠している理由がわかりました。
とにかく手入れが行き届いた、すばらしい庭園なんです。
ちょうどこの日は雲一つない晴天でしたが驚いたのは池の水の透明さ。
太鼓橋の左には大きな錦鯉たちが、橋の右側はたくさんの小さな池の魚たちが泳ぐ様子が見えます。
入園したら基本的には左廻りで歩いていくのが基本とのこと。
敷石は箒で掃き清められた跡もみえていて、訪日客も喜びそうな日本庭園となっています。
そして奥の左手は出水神社。
ここも大変綺麗に手入れされており、夏目漱石の石碑も園内に数点、配置されています。
しぃ〜んとした静けさを感じる神社と、たいへん水面の美しい公園でした。
お茶を体験できる茶屋づくりの建物もあり、時間さえあればゆっくり観光を楽しめます(ホント、今回時間が無いのが悔しかったです)。
「松屋別館」レビューまとめ・評価
ちょっと駆け足な行程でしたが、肥後の時代の良さを感じる出水神社・水前寺成趣園すぐそば、和風なホテル、松屋別館を今回はご紹介しました。
地元新聞に松屋別館の西上真理子女将は、
「熊本市内の旅館が減っていく中、地元旅館として人と人との結びつきをさらに大切にし、県外の観光客はもちろん、地元のお客さまにも気軽に集える場所としてお越しいただきたい」
と語っておられました。
地方の老舗旅館がどんどん苦境に立たされている今の時代に、この松屋別館のような新しい試みを是非とも応援したいと思っております。
……まあ、硬い話をヌキにしても、時間があれば、車で熊本城を廻り、観光で泊まるのに良いホテルです。
出張だけど、少しは旅行気分を味わいたい、少し、ほんの1〜2時間なら、観光の時間の余裕がある(かもしれない)。
そんな時には、ビジホとしての利便性と機能、さらに旅館の良いところをミックスしたこの松屋別館、ぜひぜひ利用してみてください。
松屋別館の情報
ホテル名 | 松屋別館 |
---|---|
所在地 | 〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺5-5-1 |
電話番号 | 096-213-1331 |
アクセス | 空港からリムジンバス県庁前バス停下車徒歩10分 JR水前寺駅より徒歩10分 熊本ICから車で15分 |
駐車場 | 有り 30台 無料 予約不要 |
URL | http://www.matsuyahonkan.com/2/ |
インターネット | Wi-Fi無料 |
宿泊したプラン / 部屋
宿泊日 | 2019年12月11日(水) |
---|---|
プラン | 【今だけ限定】和洋室SALE ご朝食付きプラン |
料金(税込) | 10,450円 ※料金は同じプランでも曜日や空室状況によって異なります |